トライアスロンとファッション

トライアスロンとファッション

久しぶりのお題です。
北京オリンピックも間近に控え、私の中でもスポーツ全開モードになっています。オリンピックと言えば競泳。競泳といえば、あのスピードの水着「レーザーレーサー」ですよね。ファッション的に言えば、あの川久保さんがプロデュースした「スピード・コムデギャルソン」の水着があります。この水着の川久保さんのコメントがまたイカシテいます。
「水泳選手の体は、概にトレーニングや莫大な努力によってデザインされていますから、あえて私がデザインする必要はありません。」
本当にシビレテしまいます。ファッションの究極ってこれなんですよね。
しかし、今日の話は機能という観点から噂の「レーザーレーサー」の水着についてです。製品についての、細かい発表はスピード社よりされていないのでわかりませんが、この水着を着用して速くなる要素は2つあると思います。
一つは素材の持つ機能。これは水との摩擦抵抗をいかに無くすかという点ともう一つはいかに水を生地表面から後方に流していくかということです。スピード社では前から素材開発には積極的なメーカーで、「アクアブレード」や「ファーストスキン」といった素材がありました。しかし、いずれもそれを着用したから速くなったという話はありませんでした。今回の「レーザーレーサー」は明らかにタイムが速くなっているのです。レーザーによる無縫製による、水流のスムーズな流れということも一因でしょうが、「レーザーパルス」というこの素材には、特殊な表面加工が施されているようなのです。じゃあ、なぜ他のメーカーは表面加工を施さなかったのかと言えば、水着のレギュレーションによるものだと推測されます。レギュレーションとは水着に対する規定です。トライアスロン競技のウェットスーツ等の場合、生地の厚みが5㎜以下と定められています。つまり、厚くすればするほど浮力が増し、楽に泳ぐことが出来てしまう為このような規定があります。競泳の水着規定を読んでいないので、何とも言えませんが、おそらく表面加工に関しての基準があり、今回スピード社はその規定の盲点をついて表面加工を施したのだと考えられます。トライアスロンのウェットスーツでも、生地表面に細かいヒレを付けたものなどが、既に1年前に発表され、これを着用した選手が好成績を収めたとの報告があります。これについては物議を醸しましたがOKになりました。
もう一つの要素としては、きつさです。スピード社の水着は私も10年近く愛用していますが、サイズが他メーカーのものより小さく出来ています。そして、今回の「レーザーレーサー」は従来のものからは考えられないほど小さいサイズに出来上がっているのだと考えられます。小さいサイズのメリットとしては、体内の血の流れを促す効果があります。スポーツウェアではコンプレッションウェアと呼びご存知の方も多いと思います。体を部分的に締め付けることにより、血の流れも良くすることにより酸素摂取効率を高めます。又、コンプレッションの場所によっては、筋肉の動きをサポートし適正な位置に整える効果もあります。水着の写真をよく見るとファスナーが付いています。これは
あまりにきつすぎて被りでは着ることが出来ないためでしょう。又、生地自体もかなり薄いようですので無理に被ってきると破ける心配もあります。ファスナー付きの水着って今までなかったですよね。この水着を見ているとトライアスロンのウェットスーツに本当に良く似ていることがわかります。ウェットスーツを限りなく薄く作ったとの印象も受けます。
 そして過度に体を締め付けることによって、理想の体型を作ってしまうということです。これはストリームラインと言って水泳では、水に対していかにして抵抗のないまっすぐな姿勢をとることが出来るかが速く泳げるポイントとなります。もちろん腕で水をかくパワーが不必要ということはありませんが、それ以上に大切なのが姿勢なのです。トップ選手はいうまでもなく、この姿勢をとることが出来るのですが、100分の1秒を争う世界ではチョットした体のブレも許されません。又、ストローク時に微妙に発生する筋肉の振動も水着で抑えてしまうことが想像されます。ファッションの世界で言えば、まさにコルセットですよね。何か不思議な感じがします。
 本当に完璧なこの水着。でも一つ不満が・・・。それはお値段、ショートタイプで約30000円、ロングジョンタイプで約70000円。水着でこの値段はないでしょう。ブランド品といえばブランド品ですが・・・・・。
 でも、先週ショートタイプ予約して来ました。我が家の大蔵大臣に内緒で・・・。
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by ffashion | 2008-06-30 00:00
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